人 間 模 様

2020.5.31 - 6.5

@ 画廊宮坂

2020, Gallery MIYASAKA , Tokyo, Japan

画廊宮坂|2021

【 人 間 模 様 】

目に見えない関係の姿をもつれあう男女で表現しているが、それは、関係の網の目のひとつに過ぎない。
交わりと関わりの連鎖、関係の網そのものを「もつれあう群像」として表現することは最初に決めたことだった。

兼子真一

このたび、2021年5月31日(月)から 6月5日(土)まで、画廊宮坂にて兼子真一 個展『 人 間 模 様 』を開催します。

兼子真一は、2013年より春画の手足のもつれに着想を得た「the Couple/もつれあいのダンス」シリーズを開始し、「関係」の可視化を試みています。 近年その表現は、彫刻・ペインティング・ドローイングなどその幅を広げています。

本展では「群像」を主題にした新作ペインティングを発表します。 兼子のペインティングは、日々描き溜めたドローイングデータを元に複数の絵を重ねながら一層ずつ描いています。この手法は、浮世絵版画の制作工程にヒントを得ており、デジタルのレイヤーを版木に見立て重ねて配置したのち肉筆で描かれます。層になった平面の前後関係によって生じた空間性が、兼子の表現する「もつれ」に奥行きを与えより複雑な「関係」の可視化を可能にしました。この手法は、兼子の長年構想にあった「もつれあう群像」のイメージへと結びつき、新たな展開へのきっかけとなりました。展示ではペインティングと共にその原画となったドローイングを合わせて展示します。どうぞご高覧ください。


「縁円角郭層相図(えんかくそうず)」

レオナルド・ダヴィンチの人体調和図(ウィトルウィウス的人体図 (*2))に着想を得た関係の調和図。二つのドローイング(*1)を重ね合わせ描かれている。

【縁】えん。つながり。もののかかわり。
【円】えん。始まりも終わりもない丸。
【角】かく。かど。引っかかる迷いの四角。
【郭】かく。かこわれた世界。その全て。
【層】そう。重なり。歴史。隠れたもの。
【相】そう。姿。向かい合う関係。

Painting「お仕置図 三枚続」

兼子真一「縁円角郭層相図」|2021|92×92cm|キャンバスにアクリル

「縁円角郭層相図」ドローイング
「縁円角郭層相図」ドローイング

(*1) 「縁円角郭層相図」の素材となったドローイング。

「春字」ドローイング

(*2)レオナルド・ダヴィンチ「ウィトルウィウス的人体図」


「群像三密戯画」

周延(ちかのぶ)画の「葵の栄え 諸侯奥向御煤払の図(*1)」三枚続の背景を簡略・トレースし、「群像三密戯画」の舞台として組み込み、ドローイングを重ねていきながら描いた。平面である絵と線の重なり、そのレイヤーによって生まれた空間性は自動的に物語の舞台を作りあげる。空間性という舞台の出現は、キャラクターたちの関係を自然と結びつけ物語を発動させる。
「群像三密戯画」の三密とは、「密集、密接、密閉」を指す。2020年の新型コロナウイルス感染症拡大期に総理大臣官邸・厚生労働省が掲げた標語。3つの「密」・三つの密とも表記され、一般に三密と略される。群像表現は、昨今のコロナ禍での群集心理・混乱をイメージしながら描かれている。

「群像三密戯画」2021

兼子真一「群像三密戯画」2021|270×117cm|キャンバスにアクリル

月岡雪鼎「四季画巻」

(*1) 周延(ちかのぶ)画の「葵の栄え 諸侯奥向御煤払の図」

「群像三密戯画」ドローイング

(*1) 「群像三密戯画」の素材となったドローイング。


「三人吉三」

歌舞伎の人気演目「三人吉三」を下敷きにした現代劇「湊横濱荒狗挽歌~新粧、三人吉三。(KAAT神奈川芸術劇場プロデュース、作:野木萌葱、演出:シライケイタ)」のチラシビジュアルのために描き下ろした作品。

「三人吉三」は、二代目河竹新七(黙阿弥)作。全七幕十三場の長編。安政七年 (1860) 、江戸市村座で初演された歌舞伎の演目。 『三人吉三』は、いずれも吉三郎(きちさぶろう)という名の三人の盗賊を中心に、彼らを取り巻く者たちの複雑な人間関係を描く。 三人はそれぞれ、和尚吉三(おしょう きちさ)、お嬢吉三(おじょう きちさ)、お坊吉三(おぼう きちさ)と名乗る盗賊となっている。これが百両の金と短刀「庚申丸」をめぐる因果応報の末に、差し違えて死ぬところで幕引きとなる。

Painting,「三人吉三」

「三人吉三」|2021|130×97cm|キャンバスにアクリル

Painting,「三人吉三」

「三人吉三」|左から、和尚吉三(おしょう きちさ)、お嬢吉三(おじょう きちさ)、お坊吉三(おぼう きちさ)

「三人吉三」ドローイング

(*1) 「三人吉三」の素材となったドローイングと共に展示。ドローイングを描いた竹ペンも添えて額装。


「桃色黄泉」

兼子のドローイングによく登場するピンク色の踊る人物たち「Pink Dancers(*1)」を重ね合わせて描いた作品。芥川龍之介の「蜘蛛の糸」に登場する亡者たちをコミカルに踊らせた。人物たちは、垂らされた糸に気づかずに躍りに夢中。

sculpture, [yuimedouji]

「桃色黄泉」|2021|130×160㎝|キャンバスにアクリル

「Pink Dancers」ドローイング
「Pink Dancers」ドローイング
「Pink Dancers」ドローイング

(*1) 「桃色黄泉」の素材となった「Pink Dancers」ドローイング。


 

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